前日までの状況
NASDAQは過去1ヶ月間で大幅な価格変動を見せています。3月下旬に18,281ポイント付近で年内高値を記録した後、4月初旬には14,978ポイントまで急落し、約18%の下落を経験しました。この下落は主に、インフレ懸念の再燃、金利見通しの変化、そして米中間の貿易緊張の高まりによるものでした。しかし、先週後半から今週にかけて市場は反発し、現在は16,823ポイント付近で取引されています。前日の取引では、NASDAQはほぼ横ばい(-0.05%)で取引を終え、市場参加者はFRB議長パウエル氏の本日の講演や主要テクノロジー企業の決算発表を前に様子見姿勢を強めています。特に注目すべきは、NVIDIA株の対中輸出制限に関するニュースが半導体セクター全体に与える影響です。
予想レンジ
日中レンジ: 16,600 – 17,000ポイント
サポートレベル: 16,600ポイント、16,300ポイント、15,900ポイント
レジスタンスレベル: 17,000ポイント、17,200ポイント、17,500ポイント
本日の価格シナリオ
- 弱気シナリオ: ASMLなどの主要半導体企業の決算が期待を下回るか、パウエル議長の発言が市場予想より強硬なものになった場合、NASDAQは16,600ポイントの直近サポートを下回り、16,300ポイント付近まで下落する可能性があります。特に、小売売上高データが弱い結果を示した場合、下落圧力が強まるでしょう。
- 中立シナリオ: 最も可能性の高いシナリオとして、NASDAQは16,700〜16,900ポイントの狭いレンジ内で取引される見込みです。市場参加者が経済指標やパウエル議長の発言、そして主要企業の決算結果を評価する中で、方向性を模索する展開が予想されます。
- 強気シナリオ: 小売売上高データが予想を上回り、パウエル議長の発言が穏健で、主要テック企業の決算が好調だった場合、NASDAQは17,000ポイントのレジスタンスレベルを試す可能性があります。特に、ASMLの決算とガイダンスが半導体セクターに前向きな見通しを示した場合、上昇モメンタムが加速するでしょう。
本日影響しうる要因
- FRB議長パウエル氏の講演: 本日13:30(米国東部時間)にシカゴ経済クラブで行われるパウエル議長の講演は、今後の金融政策の方向性や最近の貿易政策がもたらす経済的影響について洞察を提供すると予想されています。特に、6月の利下げ可能性や年内の利下げ回数に関する発言が注目されます。
- 経済指標: 本日発表される小売売上高データ(8:30 米国東部時間)および製造業・商業在庫・販売データ(10:00 米国東部時間)は、消費者支出と企業活動の健全性を評価する上で重要な指標です。
- テクノロジーセクターの決算: ASMLをはじめとする主要テクノロジー企業の決算発表が予定されており、特に半導体業界の見通しに影響を与える可能性があります。ASMLの第1四半期決算は、売上高77億ユーロ、純利益24億ユーロと発表され、市場の反応が注目されます。
- 地政学的リスク: 米中貿易関係の緊張、特に半導体セクターに対する輸出規制の強化が、テクノロジー株全体に影響を与える可能性があります。NVIDIAの対中輸出制限に関するニュースは、すでに先物市場に影響を与えています。
本日の取引戦略提案
弱気市場想定: 16,900ポイント以上での売りポジション検討、ストップロス17,050ポイント
中立的姿勢: 16,700-16,900ポイントでのレンジ取引、ブレイクアウト待ち
強気市場想定: 16,650ポイント以下での買い、ストップロス16,550ポイント
特に注意すべきは、パウエル議長の講演時間帯(13:30 米国東部時間)におけるボラティリティの上昇です。この時間帯は慎重な取引アプローチが推奨されます。また、ASMLなど主要テクノロジー企業の決算結果とガイダンスに対する市場の反応も、日中の価格方向性を左右する重要な要因となるでしょう。
注: このレポートは情報提供のみを目的としており、投資アドバイスではありません。市場には常にリスクが伴いますので、投資判断は自己責任で行ってください。
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